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	<title>ローコスト経営 - （株）流通ビジネス研究所</title>
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	<description>　　家電流通のプロフェッショナル</description>
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	<title>ローコスト経営 - （株）流通ビジネス研究所</title>
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		<title>経営者の視点「出店戦略」</title>
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		<dc:creator><![CDATA[研究所長　川添 聡志]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 13 Sep 2023 08:54:29 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[経営戦略]]></category>
		<category><![CDATA[ローコスト経営]]></category>
		<category><![CDATA[出店戦略]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　多くの流通・サービス業は、多店舗展開によって事業拡大を図ります。これは「チェーンストア理論」をベースにしており、多店舗展開することで、コスト比率を下げられ、仕入量拡大によるスケールメリットを得られるようになります。高度 &#8230;<br /><a href="https://ryutsu-biz.co.jp/archives/2402" class="more-link pen_button pen_element_default pen_icon_arrow_double">続きを読む <span class="screen-reader-text">経営者の視点「出店戦略」</span></a></p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p class="wp-block-paragraph">　多くの流通・サービス業は、多店舗展開によって事業拡大を図ります。これは「チェーンストア理論」をベースにしており、多店舗展開することで、コスト比率を下げられ、仕入量拡大によるスケールメリットを得られるようになります。高度経済成長期以降、多くの流通業が競うように店舗網の拡大を図り、厳しい競争を繰り広げてきました。もちろん家電量販店も同様で、地域店、地域チェーン、そして県外出店と店舗網を広げる中で、各地で衝突が生じました。現在では主要プレーヤーは10社以内に絞られています。1975年には「日本電気大型店協会」(通称 NEBA)の加盟企業数が93社あったことを考えれば、いかに熾烈な競争だったか分かります。</p>



<p class="wp-block-paragraph">　現在、家電量販店のうち、全国展開を実現しているのはヤマダHDとケーズHDの2社です（ケーズHDは沖縄県は未出店）。人口減少、少子高齢化に伴う過疎化が地方で進む中、今後新たに全国展開を達成する企業はないでしょう。その意味では、全国に店舗網を確立しているこの2社は先行者利益を獲得していると言えます。ちなみにカメラ量販のように、主要都市に大型リアル店舗を展開しつつ、ネット通販で全国をカバーする方向性もあります。西日本を地盤とするエディオンや上新電機は、最大のマーケットである関東をリアル店舗でカバーできていないません。ホビーに強い上新電機はネット通販で、エディオンはニトリとの協力関係で、関東エリアをなんとか取り込もうとしています。しかし、ヤマダHDとケーズHDは北関東を地盤として、当初から関東の需要を大きく取り込んできており、同業他社がこのアドバンテージに対抗していくのは容易ではありません。</p>



<p class="wp-block-paragraph">　出店戦略を考えると、かつて量販各社が拡大戦略を強く志向していた当時は、いかに店を増やすかが重視されていました。しかし、人口減少、少子高齢化が進む中、出店拡大は難しくなってきた、というのが一般的な見方です。実際、ヤマダHDは、2015年に不採算の小型店舗を中心に大量閉店。都心部攻略のために出店していた「LABI」店舗も多数閉店しています。出店で収益を伸ばせないからこそ、リフォームや住宅、リサイクル、金融など、異業種参入のスピードを速めた面もあります。</p>



<p class="wp-block-paragraph">　海外を見ても、中国では、家電量販店大手の国美が、22年6月末時点で中国に3825店あった店舗の9割を閉鎖する方針を発表。蘇寧も直営家電量販店を、コロナ禍の影響が本格的に出る前の19年末と比べて38%減らしました（日経新聞オンライン「<a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM278920X20C23A7000000/" target="_blank" rel="noopener" title="">中国小売り、閉店ラッシュ　家電・国美は9割削減方針</a>」）。新型コロナによる外出自粛、都市封鎖により消費者のネット購入が進んだことが要因とされています。米国でも家電量販店最大手ベスト・バイが、2022年に家電需要の縮小やネット通販への移行を背景に、店舗運営コストを抑制するべく大幅な人員削減を発表しています。</p>



<p class="wp-block-paragraph">　ネット通販が拡大するとリアル店舗の存在意義が希薄になる――2010年ごろからよく言われてきたことですが、日本の家電流通市場では、まだまだリアル店舗を展開する家電量販店が圧倒的なシェアを有しています。日本における家電販売は、量販店チャネルが全体の半分以上を占めていること、なかでも冷蔵庫や洗濯機、エアコンといった大型家電の販売をほぼ独占していること、表示価格ではネット通販が安くても相対値引きでリアル店舗が対抗していることなどが挙げられます。また、自己責任で購入商品を選ぶよりも、販売員に相談して背中を押してもらう購入を好む消費者が多いことも要因の一つです。他にも、人口密度が高く、買物インフラが充実しており、店舗利用がしやすいという点も見逃せない事情でしょう。海外と異なり、日本ではまだまだリアル店舗の役割が大きいというのが筆者の見解です。</p>



<p class="wp-block-paragraph">　とはいえ、ネット通販の普及や家電需要の緩やかな縮小を背景に、店舗の売上が減少しているのも事実です。かつては一店舗で100億円売り上げる郊外店舗がいくつもありましたが、現在では旗艦店でもおそらく50億円あればかなり良いほうでしょう。過疎化が進む地方都市では、店舗売上が下がってしまい、店舗人員数を減らし、人件費を抑えることでなんとかトントンにしている状況も珍しくありません。</p>



<p class="wp-block-paragraph">　こうなると、「店舗整理」に動くケースが多くなります。採算の悪い店舗を閉鎖し、収益を見込める店舗に絞って人員や投資を集中することにより経営効率を上げるという考えです。しかし、加藤修一ケーズホールディングス名誉会長の考え方は違います。「店舗を閉めてもコスト比率は下がらない。そもそも、店舗整理というのは、儲からなくて傾いている会社が採るべき方法。儲かっている会社が店舗を整理する必要はない」。</p>



<h2 class="wp-block-heading">店舗整理がコスト増を招く</h2>



<p class="wp-block-paragraph">　少し解説をしましょう。チェーンストア理論に基づいて出店する場合、エリアを飛び地にせず、地続きで店舗網を充実させていきます。こうすることで、チラシの配布を大きく増やす必要がなく、また既存店があるのでブランド（店名）を周知するための大掛かりな販促も不要になります。さらには、物流配送網や人員配置も既存のネットワークを活用できるので、新店を出しても、コスト比率が上らないのです。もし飛び地に出店すれば、物流・配送拠点を新設しなければならず、社員の異動に伴う住宅手当などが必要になり、新規エリアであれば、配布するチラシ枚数も大幅に増加します。コストを抑えて店舗網を拡大することが、チェーンストアの強みであり、ローコスト経営のカギとなるのです。</p>



<p class="wp-block-paragraph">　ローコスト経営を実現するための店舗網充実は、国内市場が緩やかに縮小傾向にあり、ネット通販の利用が拡大している現在でも、変わりません。1つの物流センターで30店舗をカバーしている場合、不採算店を閉めて20店舗にすれば、1店舗当たりの物流費は上昇します。流通の場合、「撤退」を認めたくないので、近隣店舗と統合しましたというたてつけで閉店しますが、近隣店舗が30キロ離れていれば、統合先店舗に足を運ぶ人も大幅に減るでしょう（車がないお客は物理的に来られません）。しかし、あくまで店舗統合なので、閉鎖したエリアにもチラシはまき続けます。来店見込みの薄いお客に対し、フォローとしてチラシを毎週入れ続ける――まさに無駄なコストになってしまいます。閉店することで、コスト比率を下げるどころか、逆にコスト高になってしまうリスクがあるのです。しかも、撤退したエリアのお客が失望してしまう可能性もあります。</p>



<p class="wp-block-paragraph">　店舗を何百店舗も展開していれば、好調店もあれば、なかなか売上が伸びない不振店も当然出てきます。もともと売り上げ規模の小さい田舎の店舗は、減価償却が終ってトントン状態という店舗も多いでしょう。しかし、こういう店舗は地代も低いので、売上不振が会社の経営成績に大きな影響を与えるわけではありません。個店単位の成績で店舗継続の可否を決めるのではなく、旗艦店や物流拠点を含めたエリア全体、会社全体で採算性を見て、十分利益が出ているなら、急いで閉店する必要はないのです。</p>



<p class="wp-block-paragraph">　長く営業していれば、お客の店舗利用経験も増え、固定客が増えるかもしれません。あるいは、競合店が経営不振で店舗整理に動くかもしれません。体力勝負となれば、不振店を抱えても利益が出せる会社の方が明らかに強いはずです。チェーンストア理論に基づき、ローコスト経営を実現しているのに、単店管理で不振店を閉めることは、その強みを捨てるようなもの。だからこそ、加藤修一氏名誉会長は、「店舗整理は経営不振の会社がやること」と常々話してきたのです。</p>



<p class="wp-block-paragraph">　リアル店舗は、地域の住民にとっては大切な「生活インフラ」です。人口が少ない地方都市にまで店舗網を展開できていれば、買物弱者と言われる人たちの窓口にもなれます。商品取り寄せ、ネット通販で購入した商品の受け取り、さらには地域の困りごとの窓口になれるかもしれません。リアル店舗のネットワークがあれば、将来的にもさまざまな可能性が生まれるのです。</p>



<p class="wp-block-paragraph">　高齢者の場合、普段は近場の小型店舗で買物をして、家族や友人知人とでかける時は大型旗艦店に行くというケースも少なくありません。小型店舗が毛細血管のように小商圏ネットワークを広げ、旗艦店が大商圏を支える。両者がうまく機能してこそ、チェーンストアのローコスト経営が実現するのです。人口減少や過疎化が進むエリアに単独店が出店しようとしたら、だれもが無理と考えるでしょう。しかし、チェーンストアなら可能です。単店舗では収益が小さくても、ローコスト経営により採算ベースを下げられ、エリア全体として商圏をカバーできるのです。これこそ「スケールメリット」です。売上拡大により仕入価格を抑える「スケールメリット」は、実際には差をつけられません。差をつけられないからこそ、多くの企業がリスクが高い「オリジナル商品開発」に走るのです。</p>



<p class="wp-block-paragraph">店舗網のスケールメリットは違います。全国どこでも商品を供給できるというのは大きな強みです。ネット通販が全国に届けられると言っても、物流自体が疲弊してしまえば難しくなります（参考　住友電工システムソリューション<a title="" href="https://www.traffic-probe.jp/wp_all/wp03_1.html" target="_blank" rel="noopener">物流業界「2024年問題」を一から解説</a>）。しかし、全国の店舗に商品を届ける物流インフラを自社で持っていれば、BtoC配送ほどには影響を受けにくいでしょう。ネット通販が普及した現在でも、長年かけて積み上げてきた店舗網のスケールメリットには大きな可能性があります。</p>



<h2 class="wp-block-heading">常識・当たり前を疑う</h2>



<p class="wp-block-paragraph">　しかしながら、頭でっかちな経営者や、常識にとらわれる経営者は、不採算店があると閉鎖したほうが「収益効率が上がる」と考えてしまいます。しかし、加藤修一氏は常に「“常識”や“当たり前”を疑う」姿勢です。一見正しいようでも、誰も否定していなくても、中長期的にはどうなのか、お客様から見たらどうなのか――いろいろな角度から「何が正しいか」を判断します。だからこそ、ケーズデンキは、さまざまな不況の中でも成長できたのです。</p>



<p class="wp-block-paragraph">　MBAや中小企業診断士、あるいはコンサルティングなどの資格を有していれば、優れた経営者になれるわけではありません。マーケティングや販売手法に秀でていることが優れた経営者の資質というわけでもありません。「常識にとらわれず、何が本当に正しいかを見きわめる力」こそ、優れた経営者に必要な資質ではないでしょうか。経営幹部の多くは、経営における常識論を振りかざしがちです。こうすればコストが下がる、社員がもっと働く、前年より数字を改善できる――厳しい言い方をするなら、世間で正しいと言われていることを主張すれば、結果がどうなっても自身の責任にならないからでしょう。</p>



<p class="wp-block-paragraph">このような常識論にしっかり反論できたのが加藤修一氏です。細かい営業施策などは現場に任せながらも、子会社幹部の強い要請を受けて、多大な費用をかけたポイント制度を導入目前になって「これはおかしい」とストップする——まさに経営者ならではの決断と言えます。そして、店舗網を着実に拡大し続ける方針も同様です。着実に実行したからこそ、64期連続増収を達成し、競合よりも高い利益率を実現できたのです。さらに加えるなら、正しい経営判断というのは、業績面で即効性があるものではありません。目先の利益を拡大するコストダウンなどと違い、中長期的な成長につながるものがほとんどです。だからこそ幹部ではなく、経営者自ら判断することが欠かせないのです。</p>



<p class="wp-block-paragraph"></p>



<p class="wp-block-paragraph"></p>



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		<title>バブル崩壊後の深刻な家電不況をどう乗り越えたか？</title>
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		<dc:creator><![CDATA[研究所長　川添 聡志]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 02 Dec 2020 08:00:59 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[会社の歴史]]></category>
		<category><![CDATA[POS導入]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>※本記事は「株式会社加藤馨経営研究所」サイトにて執筆・公開した記事です。 私がかつて編集長を務めていた「IT&#38;家電ビジネス」の前身である「家電ビジネス」の古い記事、1992年（平成4年）８月号の特集記事があります &#8230;<br /><a href="https://ryutsu-biz.co.jp/archives/145" class="more-link pen_button pen_element_default pen_icon_arrow_double">続きを読む <span class="screen-reader-text">バブル崩壊後の深刻な家電不況をどう乗り越えたか？</span></a></p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p class="wp-block-paragraph"><strong>※本記事は「株式会社加藤馨経営研究所」サイトにて執筆・公開した記事です。</strong></p>



<p class="wp-block-paragraph">私がかつて編集長を務めていた「IT&amp;家電ビジネス」の前身である「家電ビジネス」の古い記事、1992年（平成4年）８月号の特集記事があります。バブル崩壊により消費マインドが冷え込み、家電業界も深刻な販売不振に陥りました。その頃の記事です。「特別企画　家電不況――いま、何をすべきか　“甘えの構造”を打破せよ！」。その冒頭にはこのような文章があります。</p>



<blockquote class="wp-block-quote is-layout-flow wp-block-quote-is-layout-flow"><p>　92年3月期決算が厳しい結果に終わった家電業界だが、次期の業績予想を見ても日立と東芝の２メーカーが減益決算を見込むなど、景気の先行きに対する不安が依然として伺える。専門量販店トップの間からも「オイルショックの時よりも厳しく、当面回復の気配がない」と深刻な受け止め方をしているところが少なくない（以下略）</p><cite>「家電ビジネス」1992年8月号 特別企画「家電不況」より</cite></blockquote>



<p class="wp-block-paragraph">GMSのジャスコ、ディスカウントストアのロジャース、家電量販からは栄電社（エイデン、現エディオン）、和光電気（民事再生法適用申請するも後に経営再建を断念し2005年11月に解散）、カトーデンキ販売（現ケーズHD）、メーカーからは松下電器、東芝、ソニー、三洋と、合計９社の責任者が不況を乗り切るための対応策を語っています。バブル崩壊以外にも、メーカー主導の販売施策への依存、単なる安売りが通用しなくなったなど、いろいろな原因が挙げられ、その対策としては「小売り主導型の経営スタンス」「きめ細かなマーケティング」「付加価値の取れる経営」「業界を挙げた統一キャンペーンの実施」などが各責任者から語られています。</p>



<p class="wp-block-paragraph">その中で異彩を放っているのがカトーデンキ加藤修一社長（当時）の発言です。</p>



<blockquote class="wp-block-quote is-layout-flow wp-block-quote-is-layout-flow"><p>　日経平均の株価三万八千円が普通と考える人は、いまの一万六千円前後を「株は安くなった」と言うし、それまでが異常と考える人は「正常に戻った」と言う。<br>　土地の値段も「これまでが高過ぎた」と考えるか「それが普通だった」と考えるかで今現在が正常に戻ったのか、安くなったのかのとらえ方は変わってくる。<br>　家電業界も今までが良過ぎたのか、普通だったのかと考えることで、現状のとらえ方は違ってくる。私は無理に売り過ぎていたのが正常に戻ったというだけで、特別いまが悪くなったわけではないと思う。</p><cite>「家電ビジネス」1992年8月号 特別企画「家電不況」より</cite></blockquote>



<p class="wp-block-paragraph">深刻な家電不況の原因と対策を取り上げる記事で、「正常に戻った」という視点は、まさに加藤修一氏らしいものです。1992年といえば、前年によつば電機（後の東北ケーズデンキ、後にデンコードーと合併）を連結子会社化した時期。1992年3月期の年商は連結337億円と、家電小売業売上高ランキングでも10位内に届かない規模でした。言うなれば中堅量販。しかし、ほぼ同時である1993年に発行された書籍『家電流通再編への挑戦』（日経流通新聞 編　日本経済新聞社）内で、加藤修一社長は「十年後に量販店の企業数が今の三分の一から四分の一に減少しても不思議はない」と大胆な予測を語っています。実際、家電小売業売上高ランキングのトップ10にいた第一家電、和光電気が10年以内に経営破綻に陥るなど、その後業界は激変しました。</p>



<blockquote class="wp-block-quote is-layout-flow wp-block-quote-is-layout-flow"><p>　例えば、ビデオが売れる時は販売店は期待以上に売る。その時メーカーも予定以上に売れる事に対して、そのまま売ってしまう。期待以上に。当然、受け皿として店もどんどん出来る。<br>　ところが、その好調が終わるとオーバーストアになって各店の稼働率は下がり、販売店はコストが増える。それがいまのマクロ的な小売り店の実態だ。<br>　もちろん、ミクロ的にはオーディオが年々落ちてきているということがある。それにビデオも落ちてきて拍車を掛けている。<br>　この原因は、環境や使う人が変わってきているのであって、商品の性能が落ちたから売れなくなったわけではない。性能はかえって良くなったりしている。でも、使わないのだから売れるわけがない。人の生活が正しい方向に動き出しただけ。</p><cite>「家電ビジネス」1992年8月号 特別企画「家電不況」より</cite></blockquote>



<p class="wp-block-paragraph">目先の市場環境に一喜一憂し、出店政策や販売政策を急加速・急減速させるのではなく、マクロ的な視点から自社の置かれた状況を冷静に判断する。その上で、「良い時は皆が利益を出していた。極端に言えば非効率なことをしていても利益が出ていた。しかし、こうした状況の中で利益を出していくためにはローコスト化しか対応策はない」と断言しています。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="ローコスト実現は-s-b-と-省力化">ローコスト実現は「S&amp;B」と「省力化」</h2>



<p class="wp-block-paragraph">ローコストを実現するために必要なのは「常にスクラップ＆ビルドをすること」。当時は「出店＝業績アップ」という積極出店の時代です。コジマが全国出店を果たしたのが2004年、ヤマダ電機は2005年に全国出店と年商1兆円を達成していますが、これは約10年後の話。まだ出店攻勢の時代でしたが、常に不採算店をスクラップすることが大切と加藤修一氏は話します。「常にスクラップ＆ビルドをやっていると、閉鎖はおかしなことではなくなる。ところが、それをやらないでいると最終には、全部まとめて閉めなくてはならなくなる」。メンツや士気に関わるといった感情で商売しているところが多いことも指摘しています。</p>



<p class="wp-block-paragraph">ローコストを実現するもう一つの要素が「省力化」です。</p>



<blockquote class="wp-block-quote is-layout-flow wp-block-quote-is-layout-flow"><p>　もうひとつは、コンピューターを効率よく動かすことが。人手の省ける部分はとことん機械化していくこと。そして、逆に人手の必要なところに人手を多くしていく。<br>　安く売ろうとして、省いてはいけないところを省いている企業があるが、それは間違いだ。粗利が上がるのではないかとか、データをとることに一生懸命になっていたり、高く売ろうとかね。<br>　基本的には作業性向上や顧客管理、万引き防止とか、そういうことに対してコンピュータを導入する。<br>　当社では自動発注だけでも、それで一店当たりの人員が一人とか二人は省力化できている。五十店舗あれば五十人の人が減らせる計算になる。<br>　そして、その浮いた社員を接客に回してサービスを向上した。その結果生産性も向上した。だから、休みを増やしたり、残業を減らしてもやっていける。<br>　よその会社は精一杯やっていて、それで売れないから鞭が入る。だから、夜遅くまでやっていることになる。その結果、「こんな会社にいられるか」ということで、辞めていってしまう。ますます、おかしくなってしまう。</p><cite>「家電ビジネス」1992年8月号 特別企画「家電不況」より</cite></blockquote>



<p class="wp-block-paragraph">　加藤修一氏は、1982年にカトーデンキ社長に就任後、省力化のためのコンピューター導入に積極的に動きます。1987年（昭和62）年に全店POSシステム（Point Of Sales system＝販売時点情報管理）を導入。翌1988年には独自の自動発注システム（店舗パターン別に設定された商品定数を割ると取引先に自動的に発注するシステム）を導入しました。もともとあったシステムを導入したのではありません。仕様書など、システム設計まで踏み込んで開発します。そのために1985年前後にNEW東日電の有志を募り、「POS導入研究会」を立ち上げました。（※このあたりの話は稿を改めて紹介したいと思います）</p>



<div class="wp-block-image"><figure class="aligncenter size-full is-resized"><img data-recalc-dims="1" fetchpriority="high" decoding="async" src="https://i0.wp.com/ryutsu-biz.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/POSkenkyu-e1613979422193.jpg?resize=386%2C280&#038;ssl=1" alt="東日電POS研究会のファイル" class="wp-image-151" width="386" height="280" srcset="https://i0.wp.com/ryutsu-biz.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/POSkenkyu-e1613979422193.jpg?w=800&amp;ssl=1 800w, https://i0.wp.com/ryutsu-biz.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/POSkenkyu-e1613979422193.jpg?resize=300%2C218&amp;ssl=1 300w, https://i0.wp.com/ryutsu-biz.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/POSkenkyu-e1613979422193.jpg?resize=768%2C558&amp;ssl=1 768w" sizes="(max-width: 386px) 100vw, 386px" /><figcaption>カトーデンキ頑張がリーダーとなってPOS導入研究会を立ち上げ</figcaption></figure></div>



<p class="wp-block-paragraph">この当時は、社員は販売すると売上伝票を手書きで記入し、その伝票をもとに毎日売上日報を作成していました。全社員の売上日報を集計する作業も、店舗数、社員数が増えれば膨大なものになります。当時、当たり前だった「手作業」を減らすために加藤修一社長は機械化を積極的に進めたのです。とはいえ、1985年前後と言えば、空前のパソコンブームとなったWindows95発売の10年前です。要求するシステム要件に見合う大容量製品を待たなければならかったものの、業界内では早いタイミングでPOS導入を実現できました。</p>



<p class="wp-block-paragraph">人手をかける必要がない作業は機械化し、人手でしかできない業務に集中させる――機械化は一時的に大きなコストと苦労を伴いますが、ただ人件費を減らす目的ではなく、将来を見据え、絶対必要な効率化を実現するための取り組みだったのです。</p>



<p class="wp-block-paragraph">実際、POSと自動発注への投資は、その後大きな成果につながります。少ない店舗人員でサービスを強化し、「親切なお店」というお客様からの信頼を得られただけでなく、買収したよつば電機がカトーデンキの開発したPOSを既に使用していたことからスムーズに救済に動くことができました。</p>



<h2 class="wp-block-heading" id="不況に強い体質づくり">不況に強い体質づくり</h2>



<p class="wp-block-paragraph">1992年当時に比べれば、現在はコンピュータ化どころか、インターネットやクラウドサービス、電子決済など、技術は格段に進歩しました。しかし、多店舗展開する家電量販チェーンにとって、収益の源泉は今でも「店舗」であり、販売員の「接客」です。店舗が日々培ってきた「顧客の信頼」が、オンラインショッピングでも、店舗ブランドへの信頼につながります。顧客からの信頼がなければ、いくら優れた技術やサービスを導入しても、不況に強いブランドにはなれません。</p>



<p class="wp-block-paragraph">店舗の人件費はコスト面からとらえられがちです。しかし、店舗売上が下がったからと単純に人員を減らせば、一人当たりの作業負担が増え、店舗運営は大変になります。加えて客数が多くなったときに対応しきれず、顧客離れも引き起こします。接客の人員をいかに確保するか、そして人員削減個々のスタッフの負担をいかに増やさないようにするか、そのために省力化が欠かせないのです。記事で加藤社長は、機械化により「浮いた社員を接客に回してサービスを向上した。その結果生産性も向上した。だから、休みを増やしたり、残業を減らしてもやっていける」と、社員の働き方改善にも言及しています。</p>



<p class="wp-block-paragraph">技術が進歩したとはいえ、まだまだ店舗で省力化できることは少なくありません。お客様が購入を決めた後の在庫確認や配送設置日の調整などに時間がかかる、プライスを毎朝印刷して差し替える、従来当たり前だった作業も現在はかなり省力化されています。家電量販業界で、販売員用の情報端末や電子棚札の導入が急速に進んだのも、限られた人員を接客に集中させるための取り組みと言えるでしょう。人手が余るほど多いなら手作業でも“がんばれば”こなせるかもしれません。しかし、厳しい競争環境下、店舗人員数はギリギリです。店舗人員が接客に集中できる環境をいかに整えるかが本部や経営の大切な役割なのです。</p>



<p class="wp-block-paragraph">バブル崩壊後の家電不況で多くの有力量販企業が淘汰される中、カトーデンキが生き残り、大きく成長できた原動力は、「省力化」を徹底しローコスト経営を実現したことです。一方で、「本当の意味での『お客様第一』のためには、1．従業員、2．お取引先、3．お客様、4．株主の順番で大切にすることが重要」と加藤社長は常々語っています。「効率化」と「社員を大切にすること」、どちらか一方に偏るのではなく、両者をしっかり結びつける。そのために、何をすべきか、何をしないべきか――とことん考えることが『がんばらない経営』と言えるでしょう。こうして考えると、「がんばらない」というのは、決して簡単なことではないと分かるのではないでしょうか。</p>



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